written in 5 Jul.1999
modified in 6 Sep.1999
はっきり言って、ねたは尽きておりました。５月にやらなかったのは時間的理由が大なのですが、６月にやらなかったのはどうにもねたを思い付かなかったからです。そんなある日、夕食の為に行った行き付けの食堂で読んだまんが雑誌に「マリー・ルイーズ」という文字列を見つけたのです。正直言って今回は検証と呼べる代物ではありませんが、第５回は「マリー・ルイーズの亡霊」（アルバム「Madrigal」収録）です。
さて、食堂で読んだまんが雑誌に見つけた「マリー・ルイーズ」という文字列は、かのナポレオンの後妻として登場しました。その時私が思った事は、「これはねたになる」と同時に「こりゃ使えそうもないな」でした。マリー・ルイーズなんて名前はそう珍しいものではなく―ルイーズって、英語読みすればルイス、フランス語読みならルイですな―、どこぞの日本人にはまるっきり縁のないような中下級貴族の娘だったりすれば１０人や２０人はいて当然でしょうから、果たして特定できるかどうか不安だったからです。
結論から言えば、マリー・ルイーズはナポレオン妃である可能性が６０％くらいはあると思います。ナポレオン妃のマリー・ルイーズは有名なハプスブルグ家出身と言う事で、申し分ない上流貴族と言えます―同家には同名の娘がもう一人はいるのだが、とりあえず無視―。同家はウィーンに本拠があるので、フランスに嫁いだなら異国に嫁いだということですから、これも歌詞と矛盾しません。その時の年齢は１９歳くらいの筈なので、初恋が１５歳であっても何の問題もありません。…問題は、辛うじて見つけたカラーの肖像の髪は金髪というよりは亜麻色という感じで、この所が問題ありです。ただし、見つけた肖像というのが縦５cm、横３cm程度のサイズで、しかも全身像、年の頃は２０代後半という感じだったので濃い目の金髪という線も考えられなくはないです―帽子もかぶっていたような気がするぞ―。マリー・ルイーズと結婚した後のナポレオンは没落の一途をたどったのですが、マリー・ルイーズは息子（ローマ王の称号を持つ）と一緒に別の貴族に身を寄せて―後に再婚―そこそこの暮らしはしていたようなので、果たして歌詞のように亡霊になって初恋の時の姿を見せる程の想いがあったのかとか考えないではありませんが、初恋がかなわなかったのだから死んでから出てきてもおかしくはないだろうという事にしました。
白状しておきますと、今回は資料漁りを立ち読みだけで済ませています。大きな書店のヨーロッパ史のコーナーにあったナポレオンの本とハプスブルグ家の本を端から漁って見ただけですので、とりあえずモデルとして整合が取れる程度のマリー・ルイーズが実在する、というレベルである事ははっきりさせておきます。それ以上詳しい資料が現時点では見つからなかったんですね。ナポレオン関係の本にはマリー・ルイーズと結婚後ツキがなくなったような事しか見つからなかったし、ハプスブルグ家関係の本に至っては同家の政略結婚の一例としての記述がやっとという感じです―肖像が見つかったこと自体すごいような気もする―。ハプスブルグ家にはマリー・ルイーズなんか目じゃないほど数奇な運命をたどった女性がいっぱいいるから…。と言う事で、今回はあくまでも中間報告レベルとして、もう少しいい資料が見つかったら改訂するつもりです―最初から改訂するつもりとはまるでマイクロソフトである―。
Modification History
- 6 Sep.1999
- 誤字を修正（あまりに間抜けな誤変換なので恥ずかしくてどこだか書けない）