written in 31 Jan.2001
このThe Junktion Boxを公開し始めた頃、私の体重は標準（正常）範囲のほぼ上限くらいありました。おおよそ半年でほぼ標準まで減らし、今や標準範囲の下限を切るところまで減ってしまいました。やせようとして特に努力しているわけでもないのですが。…と書くと多くの人―特に女性―からうらやましがられたりするのですが、当人にとっては必ずしもいいことばかりではなかったりします。確かに私は体重が標準よりも増えていた時期が今までの人生で1年ほどというくらい、大半の時期をやせ気味どころかやせ過ぎで過ごしてきていますし、それも食っちゃ寝のぐうたら生活をして維持できるという太りにくい体質なのは事実です。こんな事を書くとますます羨望あるいは嫉妬の目で見られそうなものですが、いい事ばかりではないのです。確かに脂肪も付きにくい体質ですが、筋肉も付きにくいのですから。女性なら筋肉なくても別にどうという事はないのかもしれませんが、男性の場合はただでさえ虚弱なイメージを持たれる上に実際に体力を付けるのも大変だったりしますから。
さて、太りにくい体質の私といえども丸2年も前には明らかに太り過ぎ目前の状態でした。当時和歌山の郡部に住んでいたのですが、基本的にどこに行くにもほとんど車がないと話にならないようなところでしたから運動量は減るは、住んでいた寮の食事はご飯を山盛りにしてくれるのを「食べ物を残すのは罪悪である」的教育を受けてきた名残もあって食べきれるものだから食べきってしまっていたのが悪かったようです。たまたま会社の健康診断で内科の検診を受けようとしたその時にそのとき計ったデータを見た先生が「君太ったねぇ、それ以上増やさない方がいいねぇ」とおっしゃるではありませんか。前年のデータと比較してそう言われたのなら驚かないのですが、そこには直前に計ったデータしか書いてなかった筈です。「太ってるねぇ」なら驚きませんよ。「太ったねぇ」でしたからね…正直言って「こりゃまずいっ！」と思いましたよ。かくして私はとりあえず標準レベルまで体重を減らす事を考えた訳です。
ここで気合を入れて何か話題のダイエット法でも試すのが普通なのかもしれませんが、私はそういう方法は取りませんでした。要するに原因は食べ過ぎと消費エネルギーの少な過ぎです。だったらそのどちらかまたは両方を解決する以外の方法はありません。幸か不幸か寮の食堂はその頃からご飯を自分で盛り付けるようになったのでご飯の食べすぎはそれで解決しました。元々私は小食ですし―一部では大食いと言われているが―、見た目結構盛ったように見えて実はそんなに量がないという盛り方はマスターしているので気分的に減らしているという感じはそんなにありませんでした。更に気分を高める為に、普段から飲んでいるコーヒーから砂糖を抜く事にしました。10年程前から砂糖を入れなくても飲めるようにはなっていたのですが、基本的に甘党なのでわざわざ抜いて飲もうとしてなかったのです。たまたまコーヒー用の砂糖が切れかけていたので補充しない事にしただけですが、それなりに気分は高まりました。少々増えていた間食用のお菓子類も買おうと思ったものの2/3くらいは「また次に」と後回しにしました。何せ手元にないものは食べようがないので、これもそれなりに有効な方法だと思います。全面的に止めなかったのはストレスから来る反動で余計に食べたら意味がないからです。食べようと思えば食べられない事はない、程度にしておくのが私にはちょうど良かったです。
こうやって入るものを減らす一方で使う方を増やす事も一応考えました。元々私は歩くのが割と速い方だと思いますが、更にスピードアップを図りました。方法なんて簡単です。出勤時刻を1分ほど遅くしただけで…。しかし通勤は徒歩5分か6分の距離ですからそれなりにきついんですよね。この距離に住んでいるのは同じ職場の人はみんな知っているのですから、遅刻したら理由は自動的に私が出遅れたからと分かってしまう訳です。さすがにそれは少々恥ずかしいので一生懸命急いで通勤していました。
こんな感じで半年ほどやっていたら月当たり1kgくらいのペースで減ったようです―常時計っていた訳ではないので―。特殊な事は別に何もしていないのがお分かりになると思います。それでもある程度なら十分減らせる…と言うか、特殊な事をして楽して？やせようってのが根本的に大間違いだと思うんですが。病気などでない限り、入るもの＞出るものであれば太る方向に、その逆なら減る方向に行くでしょう。世の中の「ダイエット失敗談」を見ると「食べたいものを好きなだけ食べて」やせようとして失敗したという話が山ほどあるようですが、まあ当たり前ですよねぇ。後は偏食ダイエット―やたらありますよねぇ―、長期的に見てうまく行く訳ないじゃないですか。
いやまあ、食べたいものを食べたいだけ食べて（消費量は増やさずに）やせようと努力されるのは別に構いませんけどね。私みたいに食事に質的・量的な執着が強くない人間にとってはさほどの問題でなくても、執着の強い人にとっては切実な問題でしょうから。でも、腹八分目くらいが一番食事を楽しめると思うんですけどね、私は。
そうそう、食べたいものを食べたいだけ食べられるダイエット法ってのは存在し得ないんですよ。だって、ダイエットってのは「食餌療法」の事であって「やせる方法」ではないのですから―英和辞典でdietを引いてみれば一発ですが―。まあ、dietは食餌療法かも知れないけど、ダイエットはやせる方法なのかも知れない。そうとでも思わないと私はストレスがたまります。
真面目なアドバイスをするとすれば、こういうのは習慣として自然にできるようにやらないと続きません。本気でやせようと思いつづけるという精神的な要素も含めて、ですね。