written in 10 Feb.1999
先日、アイドルグループ（？）ジャニーズＪｒ．の未成年のメンバー４人が飲酒、喫煙の廉で事情聴取、事務所をクビと言う事件がありました。だからなんだいって気もしますが、ちょっと関心があったもので…。
話を聞いていると、要するにジャニーズＪｒ．の未成年のメンバーのうちの４人がパーティーだか何だかで飲酒・喫煙していたところを写真週刊誌にスクープされ、そのうち警察も動いて４人は事務所をクビとなったと言う事のようです。言っちゃあ何ですが、まあ当たり前の事ですね。未成年者が飲酒・喫煙する事は法律で禁止されている訳で、法律を守らなければそれなりのペナルティが科せられるというのは当然の事ではあります。
しかし、ファンの間ではやはり複雑な反応もあったようです。誤報だとか何とか主張する者あり、「みんなやっている事なのに」と言う者あり、やはり仕方ないと言う者あり、これもまあ心情的には分かります。確かに未成年の飲酒・喫煙など別に珍しい事ではないし、それで補導される事なんてそうそうある事ではないのも確かです。一種の見せしめである事は警察も認めているという話ですし、そう考えるとかわいそうという見方も出来なくはありません。
しかし、警察だって黙っている訳には行きますまい。黙っていれば「有名人は特別扱いか！」と批判されるのは目に見えていますし、写真週刊誌という媒体で（一応）証拠付きで多くの人の知るところとなった事を放っておく訳にはいかないでしょう。この事件で警察のした事は決して間違ってはいないと私は考えます。
周囲にいた大人が止めなかったのはおかしいという批判もあります。これも正論には違いありません。未成年者飲酒禁止法、未成年者喫煙禁止法のいずれも親権者またはその代わりをする者（芸能事務所ならマネージャーなどが相当するのでしょう）は止めなければならないという規定がありますし、売る方もそれを止めなければならない事になっています。で、罰は親権者またはその代わりをする者、売る者に対して科される規定になっています。事務所をクビになった４人とて、事情聴取を受けたのであって刑法上の罰を与えられた訳ではありません。でも、やったのは本人達ですから、それに対して何らかのペナルティが与えられるのは当然の事とも考えられるでしょう。人気の芸能人ともなれば取り巻きも当然いるでしょうが、スキャンダルの一つもぶち上げようと考えている輩もいるのは彼らだって分かっている筈です。分かっていてやったのだとすればあまりにも無警戒ではないかと思います。
しかし、件の写真週刊誌を見て驚きましたよ。いくら有名な芸能人とは言え、一応未成年者を実名・顔写真入りで報道しているのですから。一般人なら当然目隠し線の一つも入れて載せる写真です。未成年者であれば凶悪事件の犯人であっても滅多な事では顔は出ないものですが―たまに「国民の知る権利」を盾に載せている事がありますが―、それこそ誰でもやっている飲酒・喫煙ごときで顔写真など載せられては「そりゃちょっと違うんじゃない？」と言いたくもなります。彼らの言うところの「国民の知る権利」って、単に興味本位の覗き趣味だったり、ただのスタンドプレーでしかないように見えるのは私だけでしょうか。芸能界の腐敗追求キャンペーンのつもりなら、まずはマスコミ自身の腐敗追求キャンペーンから始めないと説得力というものが全然感じられないのですが…。
まあ、こういうものを好む人間がいるから作り、出来たものがあるから見てみる人間がいて―今回の場合は私もその一人という事になる―、以下それをエスカレートさせながら繰り返す訳ですね。私がマスコミ業界人が主張する全面的な自由競争主義に全面的に賛成できないのは送り手、受け手いずれにも十分なモラルや自己規制能力があるとは思えないからです。市場原理に任せるのはいろいろな意味で理想の形なのは分かりますが、市場がいつも正しい反応を示すなんて保証はないのですよね。今のマスコミを取り巻く環境は、とても彼らを自由に任せて解き放つ事を認めるには悪すぎるように感じます。
さて、事務所をクビになった４人はどうなるのでしょう。私はほとぼりが冷めた頃に芸能界に戻ってくるのではないかと見ています。何せ麻薬などの所持や使用で逮捕されてもそのうち復帰できるような業界の事、それなりに人気のある人なら放っておいてもいずれ戻ってくるだろうというのが私の考えです。まあ、ジャニーズだからって人気が一様にある訳ではありませんから、戻ってこれない可能性も高いですが。
しかし、一番情けないのはやっぱり事務所ですかね。どう見ても責任逃れのトカゲのしっぽ切り。あの騒ぎの後、ジャニーズＪｒ．の出てくる番組を見て何か反省の言葉でも言うかどうか見ておけば良かったな。番組ＣＭは平気で流していたから、反省だのなんだのがあったとはとても思えないのですが…。