written in 8 Aug.1999
世間が騒いでいた？ノストラダムスの言うところの「１９９９年７の月」とやらが終わって１週間ほど経ちました。結局、降ってきたのはトンネルのコンクリート片とか、高速道路の標識とか、人類が滅亡するには足りなさそうな大雨―被害地区の方にはお見舞い申し上げます―くらいのようです。恐怖の大王とかなんとかにしては力不足な物ばかりのように思いますが…？
しかし、そこら辺の雑誌など見ているとまだあきらめてない方々もいらっしゃるようです。確か「あれは旧暦の７月だから本番は８月だ」とか、「ユリウス暦からグレゴリオ暦に切り替えた時に日付が１０日飛んだ（これは本当だが）からまだ１０日ある」などなど、いろいろ言っているようです。１１日にはヨーロッパからアジアにかけて皆既日食がありますがこれが不吉だとか、グランドクロスとやらで重力バランスが異常になってポールシフトだなんだとおっしゃっております。
あいにく私はこれらの話を信じるには少々すれてしまっておりますので、「予言通りに人類が滅ぶほどのことが起こったら全財産やるぞ」などとほざいております。今からでも賭けたいという方はメールにてお申し出くださいませ。念の為に申し上げておきますが、それほどの事が起こらなかったらもちろん私が全財産頂きます。さらに、人類が滅びるほどのことが起こったら私が生きている事はない筈ですし、財産なんてものが意味を成しているかどうかは怪しいものでしょう。もちろん、あなたが生きている可能性だってない筈です―人類が滅びるっていう以上、無事に逃げおおせた人がいる限り滅びたなんて認めない！―。つまるところ、この賭けは私が勝つか賭け自体が成立しないかどちらかです。それでも良ければメールをどうぞ。そうそう、既に数年前から、年代の解釈が間違っていて本当は２０１２年とかなんとか別の年だなんていう言い訳もあるようですが、認めませんからね。そういう解釈がありなら、何だって出来ますから。
８月にずれ込むといろいろ面白そうなものがあったのは事実ですね。皆既日食などはその典型ですし、予定通りなら同日に土星探査機「カッシーニ」が地球フライバイをする事になっています。こいつが３４kg（だったと思う）ものプルトニウムを積んでいる―いわゆる原子力電池として―ので、間違って落ちて来ると核爆発が起こるとか全地球的プルトニウム汚染が起こるとかいろいろ言われてましたが、大気圏突入時に加熱されたからって火薬じゃないんだから爆発はしないでしょうし―化学反応レベルの話と核物理の話とがごっちゃになっているのだろうか―、プルトニウムがばらまかれる可能性は打ち上げ時にも当然あるので打ち上げた連中がそういう事を検討してないとは考えられないです―もちろん落ちて来た時の事も考慮されている―。グランドクロスが起こったからって何か起こるとは到底考えられません。思いっきり譲って何か起こるとして、それが１日に絞れるとは私には到底考えられません。一番速く動いている水星だって公転周期が８８日ですから１日に地球から見た位置が何°も変わる訳ではありません。何か起こる日が数日の範囲で特定できるというのならまだしも、１日に絞れるなんて嘘っぽいにも程があります。だいたい、惑星として一番大きな重力を及ぼしている木星ですら月の１／１０００の影響を起こすのがやっとです。はっきり言ってしまえば、月の距離変化―月が地球を１周する間にはほぼ１割の距離変化がある―の影響の方がはるかに大きいのです。それに比べたら木星ですら誤差以上の影響を及ぼすと考えるには無理があります。占星術的にはそれなりに意味があるようですが、まあ１００年前の天気予報より当たらないご宣託に意味があるかどうかは私には分かりません。
ちなみに、皆既日食を不吉なものとして嫌っている傾向が意外に強いとされるヨーロッパあたりでも、今回はかなり派手に宣伝しているそうです。何せ東の果てからぢゃぱにーずがお金と機材とを持って大挙して押し寄せてくる機会を逃す手はないですもんね。日食ツアーと言えば普通のツアーよりも料金が高めである事が多いのですが、それでも結構人が来るのですよ。コソボ紛争でイメージダウンした東欧方面とか、クルド問題で外務省が渡航安全情報の危険度ランクを上げたトルコなんかはかなり必死になったとかならないとか…。
まあ、なんですな。あの予言は絶対当るんです。何が起こるって具体的に書いてある訳じゃないんですから、起こった事の中で一番良さそうなのを当てはめてやればいいんです。ちなみに、１９９９年以外にも年代の書いてある予言はいくつもあるそうですが、現時点ではことごとく外れているとか。だから言ってるでしょ、あれは６６０年前に終わった話だって―４０００年前という解釈も出来てよ―。