written in 22 Mar.2000
ちょっと前の話になりますが、大阪で日本初の女性府知事が誕生しました。まあ、私はやる気と能力があるなら男女の区別など全く無意味であると思っていますので、まずはお手並み拝見ってところです―男性が選ばれても同じ事を言います―。もっとも、この女性知事の場合は悪く言えば落下傘候補なので、多くを期待するには無理がありそうですが…。他の落選候補（全て男性）は内輪もめ分裂候補だったり、当てになりそうもない共産系候補だったり、自ら羽柴―豊臣じゃないところがマニアック？―秀吉の生まれ変わりと名乗る意味不明候補と、当選した女性を含めてどれを選んでも後悔せずにはいられないような候補ばっかりでしたが…。
で、既に皆様もご存知とは思いますが、この女性知事が早速全国的にメディアに露出した時に何をやったかというと…大相撲三月場所（大阪）で知事賞を自ら渡したいというパフォーマンスでありました。ええ、パフォーマンス以上の意味はないと思います。男女同権を訴えるなら直ちに手を付けるべきところが他にいくらでもある筈ですし、そこから始めるべきでしょう。子供相撲の優勝者が女の子だった時に土俵に上がれなかったとかなんとかという問題はこの際置いておきます―上げたくないんなら相撲協会が最初から参加制限を加えれば済む話ですから―。私が見るに、このパフォーマンスはパフォーマンスとしても低レベルです。知事としての能力をアピールしたいんなら破綻寸前と言われる大阪府の財政事情に対する画期的な打開策の一つもでっち上げる方がはるかに効果的な訳ですから、低レベルな売名行為と言われても仕方ありますまい。男女同権の論争を喚起するというならその昔女性官房長官がやって久しいですし、大相撲の土俵に上る事より先にすべき事がいくらでもあるのは男の私が考えても明白です。当の元女性官房長官も今回のパフォーマンスに何か言っていましたし、女性国会議員がこぞって同じような事をやっているのには「ちゃんと仕事しろ」と言いたくもなります。
私は別に相撲協会の立場を理解する気もないので、勝手にやらせておけばいいと思っています。女性が大挙して相撲観戦から去ってしまえば協会だって何か対策を打たざるをえないでしょうし、女人禁制を守りたきゃそれを通せばいいだけの話です。だいたい大相撲がスポーツだというのがそもそもの勘違いです。相撲自体はスポーツでしょうけど、選手は基本的にまげを結ってて、解説がないと分からないような儀式がわんさかある大相撲は、歌舞伎などと同様の伝統芸能の類と理解するのが筋というものでしょう。完全に伝統芸能となれば八百長もへったくれもない訳ですが、私はそこまで言う気はありません。大相撲が国際的なスポーツなんて見方はナンセンスですね。確かに今の土俵にはいろいろな国出身の人が上っていますが、外国籍の力士が横綱になろうとすると妙に大変だったりするくらいなので国際化されているとは言い難いですね。土俵に女性が上れないのが差別というなら歌舞伎だって一緒でしょう。いや、主役を張ろうと思ったら歌舞伎役者の家に生まれなければならないんですから歌舞伎の方が性質が悪いかも…。
まあ、こんな訳で私は最初から期待してなかったけどこの女性知事には失望しております。要するに、今まず何をすべきかを全く認識してないような人では男女に関わらずだめってだけの話です。選挙中も「大阪の庶民のオバサン」を無理矢理演出しようとしてましたが、あんなのやってウケるとすれば前知事くらいのものです。これ見よがしにタコ焼き食うなっての。府民の多くにとってはイメージ作戦は前知事で懲りている筈なので、まともな政策論争やって頂きたかったですな。ま、他の候補も政策論争という点ではとても水準に達しているとは言えない内容でしたけど…抽象論は聞き飽きてますので。
まあ、前知事と違って強制わいせつで訴えられるような事はなさそうなだけマシかも知れませんが…（強制わいせつは男しか犯せない罪って訳でもないが）。その前知事も一応やったと認めた訳ですが、まだ往生際が悪いという印象が強いですね。ここまで来てまだ執行猶予を狙ってるらしい意図が丸見え。