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検証シリーズ２”天球儀の涙”

written in 27 Feb.1999
modified in 15 May 1999

第１回に「恋はＧＥＴ　ＵＰ！！」を選んでしまった私ですが、実は準備だけはこちらが先だったと言う幻の第１回企画「天球儀の涙」（アルバム「Semi-Precious Stone」収録）です。

この「天球儀の涙」には、歌詞に星や星座の名前が出てきます。それだけが理由ではありませんが、私のお気に入りの曲でもあります。で、歌詞の表す星空がいったいいつ頃の星空なのかが気になった訳です。

歌詞から推測される星空は画像の通りでしょう。斜めに落ちる流れ星がオリオン座からシリウスに向かうと言う歌詞からは、オリオン座がほぼ南中（真南に来た状態）している頃―１時間程度の前後は問題ないと思う―であろうと推測できます。ただし、この仮定は星を見ている場所が北半球の中緯度地域である事が前提です（緯度が高すぎるとシリウスが見えなくなるし、赤道付近以南ではシリウスの方が上に見える事になる）。そして、季節が冬である事までは歌詞から絞り込めます。

しかし、冬と言っても１２月から翌年２月まである訳で、この間にオリオン座が南中する時刻は６時間も変わってしまいます。１２月上旬には真夜中過ぎに南中するオリオン座も、２月下旬には１９時頃には南中するのです。となると、歌詞の情景から間接的に推測するしかなさそうです―確か前回も肝心なところが抜けていたような気がするが―。

この歌自体は失恋ソングですから、そこだけ重視すれば彼と星を見ていた事を思い出すような状況が夕方とは考えにくいですから１２月上旬、あるいはいっそ１１月くらいまで戻ってもいいような気がします。しかし、星を見ていたのは彼とうまく行っていた頃の話です。となると、ごく健全なカップルだとすれば２１時くらい、もう少し遅いとして２３時までと言うところでしょうか。とすると、時期としては１２月下旬（２３時）から１月下旬（２１時）くらいが妥当だろうと考えられます。

ここでアプローチを変えてみます。この歌の彼は星が好きで―私と同じだ―、彼女に天球儀をプレゼントするような男です―私はやった事ないな―。ひょっとしてこのカップルは流星群を見に行ったのではあるまいか、と考えてみましょう。オリオン座からシリウスに向かって流れる流星は、元をたどるとオリオン座をはさんでシリウスの反対側にあるおうし座の方向から流れます。実はあるんです、おうし座流星群が。問題は、この流星群の活動期間が１０月中旬から１１月下旬（ピークは１１月２〜３日）で、先程の推測とはかなり食い違う事、１１月上旬だとするとオリオン座が南中するのは３時くらいになってしまう事です。しし座流星群の時の大騒ぎのような状況になればカップルが嫌と言うほど湧いてくるんですが、それ程たくさん流れる流星群ではないおうし座流星群を見に行くような奇特なカップルがいるだろうかと言う疑問を感じるので、多分この推測は違うだろうなぁ…。

正直に申しますと、最初私の仮説は１１月下旬〜１２月上旬だったんです。失恋して―振ったのは彼女の方なのだが―見ていた星空が夜半前とは思えないと言う根拠で攻めるつもりだったのですが、歌詞を再度読み直したら星を見ていたのは冬の夜であると気づきまして、それを重視して意見を変えたと言うのが真相です。１１月下旬の夜ともなればほとんど冬のようなものだし、旧暦なら１１月どころか１０月―新暦に直せば１１月ですが―だって冬ですから押し切ると言う考え方も出来たんですが。

と言う事で、私の結論は次の通りです。

• １２月下旬〜１月下旬である可能性が８０％
• １１月下旬〜１２月上旬である可能性が１９％
• １１月上旬である可能性が１％

…作詞者が特に考えていなかったと言う可能性が結構ありそうな気がしますが、考えない事にします。空しいから…。

Modification History

15 May 1999

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